ウェブブラウザであるGoogle Chromeや、Internet Explorer、Firefoxはご存知の方も多いと思いますが、今回ご紹介するBRAVE(ブレイブ)もその1つです。
Braveは、Firefoxの開発元であるMozillaの元最高経営責任者であり、Javascriptの生みの親であるBrendan Eich(ブレンダン・アイク)氏が開発を進めているウェブブラウザで、従来のウェブ広告の在り方を一変させようとしているプロジェクトです。
今回は、そのBraveの特徴について、従来のウェブブラウザの問題点を踏まえながらご説明していきます!
もくじ
▼基本情報
通貨名 | Basic Attention Token |
通貨単位 | BAT |
公開日 | 2017年5月 |
総発行枚数 | 1,500,000,000 BAT |
公式サイト | https://brave.com/ |
Youtube | https://www.youtube.com/bravesoftware |
https://www.facebook.com/BraveSoftware/ | |
https://twitter.com/brave | |
https://www.reddit.com/r/brave_browser |
▼特徴
0.従来の広告モデル
例えば、GoogleとFacebookが世界中の広告売り上げの63.11%(2017年)を占めていることからもわかるように、
現在のウェブ広告モデルは、ウェブブラウザの運営側が広告を一括管理する中央集権型の仕組みで、サイトの運営者や広告主は、広告の利益の大半をウェブブラウザ運営者に吸い取られている状態といえます。
そのため、コンテンツの制作者はより多くのアクセスを得るために、いかにそのウェブブラウザの検索上位に表示されるかという努力をする必要があり、
・本来届けたいはずの内容を作成できなかったり、
・質の良いコンテンツが埋もれてしまう
という問題を抱えています。
一方、ユーザー側からの視点では、ユーザーに不要な広告が表示されたり、そもそも不要な広告やトラッカー(サイトの訪問者の行動を分析する解析ツール)が組み込まれた、データサイズの大きいサイトをダウンロードして表示させられているという、隠れた不利益を常に被っています。
この不要なダウンロードによって、パソコンやスマホなどのバッテリー寿命を21%損なっているともいわれています。
ウェブ広告の不正を訴え話題となった映像1.分散型の広告モデル
Braveは、そのような中央集権的な広告モデルの問題から、ユーザー主体の分散型広告モデルを構築しようとしています。
標準搭載している広告ブロック機能によって、あらゆる広告やトラッカーをブロックしたうえで、ユーザーがいつも通りにウェブを閲覧するなかで、コンテンツ制作者を自動で支援したり、チップを渡したりする仕組みになっています。
また、その際に使われるトークンがBAT(Basic Attention Token)になります。
この仕組みによって、
・制作者は、ユーザーに向けて質の高いコンテンツを作りやすくなる
・ユーザーは、無関係な広告が少なくなり必要な情報を得られやすくなる
というこれまでの広告モデルにはなかったメリットを生み出す可能性を秘めています。
2.高いプライバシー性

現在、一般的なサイトは、様々な不要な(ことが多い)広告が表示されているうえ、トラッカーが実装されているため、ユーザーは行動履歴を把握されています。
さらにいえば、お使いのブラウザにもおそらく広告をブロックする機能があると思うのですが、その広告ブロッカーは、セキュリティ上の脆弱性があるため、あなたの位置や閲覧履歴から行動を予想されてしまうといったようなプライバシー侵害の恐れがあります。
(参考:https://nakedsecurity.sophos.com/ja/2018/08/20/adblocking-and-browser-privacy-can-be-bypassed-researchers-find/)
そこで、Braveは、従来のウェブサイトとユーザーの間に入っている広告代理店やアドテクノロジー企業といったような、様々な中間業者を介さずに、ユーザー・広告主・コンテンツ制作者は、検索ワードや閲覧履歴などの暗号化された匿名データを共有しながら、報酬を直接やり取りします。
これらはすべてブロックチェーン上で行われているため、高い透明性とセキュリティ、広告に関する不正の軽減を実現できるとしています。
3.安全で高速のブラウジング
不要な広告やトラッカーをダウンロードしないため、
ChromeやSafariよりも最大で8倍の速さでウェブの閲覧ができるとされています。
次の動画は、公式サイトにあるスピードテストの様子です。
BraveとCrome、Firefoxを比較することで、わかりやすくそのスピードの速さをアピールしています。
▼開発状況
2017年に発表されたロードマップは以下の通りです。
BATマーキュリー(2017年夏)
- Braveに統合されたBATウォレット
- ブレイクペイメントをビットコインからBATに変換
- Braveの秘密鍵の同期を拡張してBraveの元帳とウォレットを含める
- 需要側ダッシュボード・データをBAT広告にコンパイルし、オン・デバイスでダウンロードおよび更新されるカタログを提供します。マイクロバイ・トゥー・アット・アドバンテージ収益を伴う広告/募集広告
- カタログ化された広告を非公開で照合し、ユーザーの意図の信号、検索クエリ(あなたはクエリ・ログを所有し、Googleはそうではない)からサーフィン、リサーチ、購買まで、ユーザー専用のスロットに配置します
- ユーザープライベート広告スロットフォームファクタの設計研究とエンジニアリング開発
- BAM(Basic Attention Metric)システムによる広告エンゲージメントとユーザー満足度の測定
- Brave Ledger ANONIZE ZKPベースの証明プロトコル(ゼロナレッジプルーフ)を拡張して、広告の属性と確認とトランザクションを伝達する
BATジェミニ(2017年秋/ 2018年冬)
- 詐欺防止のためのKYC(humint +機械学習)、レート、フロー制御
- ユーザー成長プール(UGP)は、新しいモデルを選択するユーザーに付与されます
- さらなる機械学習の開発と最適化
- 需要側ダッシュボードをBAT広告/オファーカタログ作業に追加
- BAT間接広告パートナーシップトライアルに興味のある初期の出版社のLedgerおよびEthereumによるダッシュボード分析
- 特定の代理店およびその他のデマンドサイド/リードジェネのパートナーとのユーザープライベート広告トライアル
- 出版社提供の在庫システムを共同開発する最高の出版社パートナー1社
- システムが現状よりも優れたパフォーマンスを出すとすぐに収入
BATアポロ(残りの2018年)
- ユーザーの増加に伴って増加する実際の広告収益。さらなるUGP交付金および成長ハッキング
- 広告からのBAT収入を得て、固定されたトップサイトに還元したいユーザーへのインセンティブを通じ、可能な限り小さい
- Brave Ledgerの確認と収益フローから、匿名性のためのZKPを使用した状態チャネルを使用して、Ethereumフロー上で完全に分散化されるまでの主要な作業
- プレミアムアテンションモデルに基づく進化型BAMオプション – ハイエンドでの価格発見
- パフォーマンス測定、最適化、販売計画のための競争力のある需要家(広告主)と供給(出版社)ダッシュボードを備えた、Ethereumブロックチェーンに関する集約された大規模な匿名性のレポートと予測
- BATと他のアプリとの統合により、オープンソース/スペックに基づいて広告を活用し、パブリッシャーのオンボーディングを促進
追記(2019/4/25)
ブレイブは4月24日、ユーザーが広告を見ることで報酬を得ることを可能にするオプション『Brave Ads』を、公式サイトで発表しました。
Today we’re launching the 1st ad platform built on privacy. Brave desktop browser (0.63.48) users who opt into Brave Ads receive 70% of ad revenue share. Brave puts the user in control, rewards them for their attention, and helps fund content creators. https://t.co/tBuiLV8QOL
— Brave Software (@brave) April 24, 2019
直近3ヶ月におけるBATの価格は、0.1215ドル(2019/1/25)から、最高で0.4678ドル(2019/4/21)まで約4倍の上昇を見せており、多くの投資家が注目していたことがわかります。

また、ブレイブの公式サイトには、以下のようなコメントが発表されています。
「Brave Adsを使用して、ユーザーのデータの権利を保護し、注意を払って報酬を与えた最初のデジタル広告プラットフォームを立ち上げました。
Brave Adsはまた、オンライン広告業界の経済性とコンバージョン率を向上させることを目的としているため、出版社と広告主は、高額な料金を徴収し、Web全体の監視に貢献する仲介業者なしで成長できます。」
▼将来性

ブロックチェーン技術を用いたウェブブラウザBraveは、新しいウェブ広告モデルを確立させようとしています。
開発にはロードマップの見積もりよりも多くの時間がかかる可能性があるとしながらも、ICOによる資金調達としては2017年6月時点で過去最高額の3500万ドルをわずか30秒で調達したことからも、その期待度の高さが伺えます。
しかし、googleやfacebook、yahooといったプラットフォームに比べて、Braveの知名度はまだ圧倒的に低い状況です。
Braveのエコシステムがうまく機能するためには1000万~1500万人のユーザーがいなければならないといわれていることから、広報活動とユーザーの獲得が何より重要となってくるでしょう。
▼取扱取引所
Binance、Bittrex、LATOKEN、Huobiなど、様々な海外取引所で購入することができます。