もくじ
Ethereum Classic(イーサリアムクラシック/ETC)とは?
Ethereum Classic(イーサリアムクラシック)とは、すでに流通していたEthereum(イーサリアム)から派生して誕生した仮想通貨です。
イーサリアムクラシックは、中央管理者が存在しない状態でも自発的に機能することが特徴とされています。
元々派生する前の本家イーサリアムにもこの特徴は備わっていて、両者は基本的には同じ機能や性能を兼ね備えています。
しかし、分裂後は異なった道を進んでいるため、具体的なイーサリアムとイーサリアムクラシックの違い、また派生するに至った経緯を知る事で、両者をより理解することができるでしょう。
Ethereum Classic(イーサリアムクラシック/ETC)の特徴
基礎情報
通貨名 | Ethereum Classic(イーサリアムクラシック) |
通貨単位 | ETC |
総発行枚数 | 210,000,000 ETC |
トークン規格 | 独自トークン |
公式サイト | https://ethereumclassic.org/ |
ホワイトペーパー | https://coss.io/documents/white-papers/ethereum-classic.pdf (※2019年5月現在非公開) |
https://www.reddit.com/r/EthereumClassic/ | |
https://twitter.com/eth_classic | |
Medium | – |
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2016年5月に起きた「The Dao事件」

The Daoとは?
2016年にイーサリアムのメンバーによって分散型投資ファンドを構築する目的で発足されたのが「The Dao」であり、イーサリアムのプラットフォームをベースにしたプロジェクトです。
一般的な投資ファンドはファンドが投資家からお金を集めて手数料を抜き、ファンドが投資先を決めるので投資家はファンドの投資先に意見することはありません。
しかし、The Daoの特徴は投資した個人が各々決定権を持っており、一般的な投資ファンドのように組織のトップや管理者などがいない、自律的な仕組みであるプラットフォームであるという事で注目されていました。
The Dao事件とは?
2016年6月、先述したThe Daoが悪質なハッカーからハッキングを受け、約65億円分(当時)のイーサリアムが盗み出されてしまうという事件が起きました。
これが「The Dao事件」です。
この事件についてイーサリアムのコミュニティは議論を行い、対策として次の3つの案が提案されました。
①はそのまま諦めてしまうという意味になりますが、②は銀行で言う所の口座に当たるハッカーが資金を移動する上で使用したアドレスを凍結して取引自体を無効にするという方法です。
しかし、この方法を使うと盗まれた資金も無効化されてしまう為、被害にあった資金を取り戻すことも不可能です。
③の場合はハッカーが資金を盗み出す前の取引までさかのぼり、その取引を無効化するという方法です。
盗み出された資金を取り戻す為には③の方法しか残されていませんが、イーサリアムの特徴である、「中央管理者が存在しない状態でも自発的に機能する」という取引の公平性が失われてしまいます。
結局は③の方法でハッカーから盗み出された資金を取り戻すことに成功しますが、コミュニティの中にはこの結論に納得していない人もいました。
このようなハードウォークの実行に反対する参加者達がイーサリアムを基盤として生み出した仮想通貨がイーサリアムクラシックです。
イーサリアムクラシックとイーサリアムの違いについて



運営方針の違い
イーサリアムクラシックもイーサリアムも元々同一の仮想通貨だったので両者に大きい違いはありませんが、明らかに違う点があります。
それは、「The DAO事件」をきっかけとした運営方針の違いです。
イーサリアムクラシックはブロックチェーンのメリットである非中央政権の公平性を重んじていて、元々のイーサリアムの伝統を守るという意味で「クラシック」という名前がつけられています。これを「Code is Low(コードが法律)」と呼びます。
その一方でイーサリアムは、ハッキング行為から盗み出された資金を取り戻すためにハードウォークを行い、ブロックチェーンの公平性よりも民主性を選び、これを「Community is Low(コミュニティが法律)」と呼んでいます。
つまり、イーサリアムクラシックは元々組み込まれているプログラムによって運営を行うという理念を掲げているのです。
コンセンサスアルゴリズムの違い
イーサリアムクラシックとイーサリアムでは、コンセンサスアルゴリズムに対する考え方も異なります。
コンセンサスアルゴリズムとは、ブロックチェーンのような中央的管理者がいない状況下で、「発生する取引の結果が正当なものであるかどうかを認めるためのルール」の事をいいます。
イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムは今後、PoW(Proof of Work)からPoS(Proof of Stake)方式に移行していく予定ですが、イーサリアムクラシックのコンセンサスアルゴリズムは、既存のPoWを継続していく予定です。
この事から、現在イーサリアムのマイニングに取り組んでいるユーザーが、今後イーサリアムクラシックに移る可能性もあります。
Ethereum Classic(イーサリアムクラシック/ETC)の将来性



イーサリアムクラシックは、元々がイーサリアムと同じだったという事で基本的に機能や性能に大きな違いがありません。
そのため、本家イーサリアムの後追いで作られたイーサリアムクラシックは、知名度や導入実績という点でどうしても本家に劣ってしまいます。
そんな中、イーサリアムクラシックは、本家との差別化を図る意図で、IoT(Internet of Things)の分野への対応を目指して、開発を進めていくことを発表しています。
IoT(Internet of Things)とは、あらゆるモノとネットワークを繋げて世の中を便利にしていく仕組みの事。
例えば外出先から家の中のクーラーなどの家電製品を管理したり、スマートホームのように声で管理したりする仕組みのこと。
イーサリアムクラシックはThe DAO事件を教訓にセキュリティを重視した仕様になっているため、このIoTに求められているセキュリティとは相性がいいとされているのです。
しかしながら、イーサリアムクラシックの開発に携わる団体の一つであるTCDEVが2018年の12月に資金難を理由に開発を中止してしまったという事態にも陥っています。
Unfortunately ETCDEV cannot continue to work in the current situation and has to announce shutdown of our current activities pic.twitter.com/N6xWnpBNJJ
— Emerald (@getemerald) 2018年12月3日
ECDEV以外にも開発団体はあるので、同団体の開発中止がイーサリアムクラシック全体の開発中止に繋がるわけではありませんが、この一報を受けてイーサリアムクラシックに対する不安の声が広がった事は否定できません。
今後、他の開発団体もそれぞれどうなっていくのかわからない状況にはありますが、予定通り開発が進み、IoTがより一層広まった世の中になるのであれば、イーサリアムクラシックの仮想通貨としての価値も高まることが考えられます。