もくじ
テザー(Tether/USDT)の特徴とは|米ドルにペッグしたステーブルコイン
テザー(Tether/USDT)は時価総額ランキングで上位に位置するメジャーな仮想通貨です。
価格が米ドルにペッグしているため、海外の仮想通貨取引所や分散型取引所(DEX)では基軸通貨のように扱われているケースも多い通貨です。
通貨名 | テザー(USDT) |
通貨単位 | USDT |
公開日 | 2015年2月25日 |
総発行枚数 | 上限なし |
公式サイト | https://tether.to/ |
ホワイトペーパー | https://tether.to/wp-content/uploads/2016/06/TetherWhitePaper.pdf |
https://www.facebook.com/tether.to | |
https://twitter.com/Tether_to/ | |
Telegram | https://t.me/OfficialTether |
https://www.reddit.com/r/Tether/ |
テザーの背景
ビットコイン(BTC)をはじめとする仮想通貨は、米ドルなどの法定通貨と比較して値動きが激しいため、仮想通貨取引所での基軸通貨に向いているとは言えません。
また、仮想通貨取引所では法定通貨と仮想通貨を交換することができますが、その際に手数料が必要となり、取引を繰り返すことで出費がかさんでしまうという問題もあります。
そうした状況で、世界で初めて米ドルにペッグした仮想通貨として登場したのがテザーで、1USDT=1米ドルになるように調整されています。
基本的に価格が変動しないため、前もって米ドルをUSDTに交換したうえで、他の仮想通貨と交換するような使い方ができ、手数料の抑制につながるというメリットがあります。
テザーの特徴
テザーが仮想通貨の時価総額で上位に位置しているのは、次のような特徴があることが理由です。
- 法定通貨の代わりになる
- 複数のブロックチェーン上で利用可能
- 中央管理者が発行している
法定通貨の代わりになる
テザーは1USDT=1米ドルになるように調整されているペッグ通貨であるため、仮想通貨取引所で米ドルの代わりに使うことができます。
これは中央管理者がいる一般的な仮想通貨取引所に限ったことではなく、分散型取引所(DEX)にも当てはまります。
複数のブロックチェーン上で利用可能
DEXの多くは、イーサリアムのブロックチェーン上に開設されているため、テザーの多くはイーサリアムベースのERC20規格のものになっています。
とはいえ、ERC20規格だけではイーサリアム以外のブロックチェーン上に開設されているDEXは利用できません。
そのため、テザーはERC20規格だけではなく、バイナンス・スマートチェーンやトロンのブロックチェーンに対応したものも発行されています。
複数のブロックチェーンに対応することで、数多くのDEXに対応し、広く取引に利用できるというメリットがあります。
中央管理者が発行している
ビットコインをはじめとする仮想通貨の多くは、中央管理者が存在していません。
これは、中央銀行という管理者が存在する法定通貨へのアンチテーゼという側面があるからです。
これに対してテザーには、テザー社という中央管理者が存在しており、取引の承認などを行っています。
このため、テザーはマイニングによって入手することは出来ず、同価格の米ドルとの交換によってのみ、入手できる仕組みになっています。
テザーが米ドルによって担保されているという主張は、この仕組みのうえに成り立っています。
ただ、この点については疑惑の声も挙がっています。
テザー疑惑とは?
テザーは同額の米ドルによって裏付けされていないのではないかという疑惑があります。
この説に則る形で訴訟を起こしたのが、米ニューヨーク州司法当局(NYAG)です。仮想通貨取引所ビットフィネックスに融資を行う際に、裏付けなしのテザーが発行されたのではないかというものです。
この訴訟では、テザーとビットフィネックスが約20億円の和解金を支払うことなどで決着しましたが、両社とも融資が不正に行われたものであったとは認めていません。
テザー社はこの訴訟について「テザーに裏付けがないという根拠はなかった」とする一方で、NYAG側は「米ドルと1:1の裏付けがあるという主張は虚偽」とし、未だに主張が分かれています。
こうした不透明さを問題視しているユーザーもおり、最近ではUSDコイン(USDC)など別のステーブルコインも台頭しつつあります。
テザーの将来性
テザーは今後、DEXでの基軸通貨として利用されるケースが増えることが見込まれることから、ステーブルコインとしての将来性には富んでいると言っていいでしょう。
ただし、それはあくまでも「ステーブルコインとしての」将来性であって、必ずしもテザーの将来性とダイレクトに結びつくものではありません。
NYAGとの訴訟を通じても、テザーの疑惑が完全に払拭されたとは言い難い状態です。今後、何らかの形で問題が出てくる可能性はゼロではなく、そうなればテザーの信頼性は完全に失われます。
ステーブルコインとしての利便性ゆえの将来性は認めながらも、今後の展開については注視が必要というのが、テザーの将来性に対する現時点での回答と言えそうです。