仮想通貨禁止のインド。政府が語る仮想通貨の「大きな懸念」とは?

仮想通貨禁止のインド。政府が語る仮想通貨の「大きな懸念」とは?

仮想通貨に対して、長い間否定的な姿勢を取り続けているインド。

その政府が懸念するのは、マネーロンダリングやテロ資金などへの流出だけでなく、法定通貨ルピーへの影響であることを明らかにしました。

インドで仮想通貨規制を担当している委員会は、2017年に財務省のSubhash Chandra Garg氏によって立ち上げられています。この委員会についての取材に匿名で答えた関係者は、次のように述べています。

「もしビットコインと他のデジタル通貨が決済手段として使われるようになれば、それが法定通貨を不安定にさせるかどうかが大きな懸念材料になっている」

また、別の関係者は

「金融システム全体に与える影響も不透明で、この点について(Garg氏を)説得するのが難しい」

とも述べています。

仮想通貨による法定通貨への影響とは?

実際に仮想通貨によって法定通貨に影響は出るのでしょうか。

インドの仮想通貨取引所コイネックスの創設者であるRahul Raj氏は、「懸念していることが実際に起きるまでにはかなりの時間がかかる」との見解を示しています。

さらにRaj氏は、

「現時点では、仮想通貨を使用してほんの一握りの支払いしか行われていないため、この時点でこの問題を心配するのは時期尚早である可能性があります。」

と語っており、政府の対応に難色を示しています。

冒頭に述べたようにインドの仮想通貨に対する姿勢はとても否定的であり、多くの仮想通貨ファンがその対応に苛立ちをあらわにしていますが、

2019年1月には「インド初のデジタル銀行であるDigibankが仮想通貨関連の口座を凍結している」という事がTwitterユーザーの投稿から明らかになるなど、仮想通貨への取り締まりが続いています。

この投稿によると、シンガポールに拠点を置く大手多国籍金融サービス企業であるDBSが所有するDigibankにより、仮想通貨トレーダー、或いはブローカーとの仮想通貨取引が確認された後に彼女の口座が凍結された、というもの。

今後入金することを控えるようアドバイスされ、口座は30日以内に閉鎖される、と記されています。

これに対し、Digibank側は次のように述べています。

「インド準備銀行(RBI)は、その公示を通じて、仮想通貨に関連するリスクについて国民に警告、助言してきました。私たちは、2018年5月4日と2019年8月2日に配信した私たちの電子メールにおいても同じ内容を繰り返し説明し、私たちのお客様のリスクを軽減するよう注意喚起を行い、銀行口座とデビットカードはそのようなやり取りには使われるべきではない旨を警告してきました」

インドは巨大なマーケットを抱えている事もあり、仮想通貨市場の盛り上がりに期待する業界関係者も多くいますが、政府は仮想通貨に対する懸念材料が払拭できないという状況が続いています。