詐欺が常態化しているカカオ、ブロックチェーンによるトレーサビリティのテストを開始
アフリカやカリブ海で持続的な食品の安全を支援する農業農村協力技術センター(the Technical Centre for Agricultural and Rural Co-operation:CTA)は5月29日、アフリカのコートジボアールで行われたブロックチェーントレーサビリティの開発とテストを行ったことを発表しました。
これらの計画はココブロック(COCOBLOCK)と名付けられており、フランスのNGO団体であるニチダエ(Nitidae)、発展途上国での森林破壊をしないサプライチェーンの実現を目指すガイアチェーン(Gaiachain)と協力して行われています。
ブロックチェーンで詐欺と戦う
ブロックチェーンには数多くの情報を蓄積することが可能です。
加えてブロックチェーンは改ざんしにくいという特徴があるため、情報を遡ることで商品の産地や商品の栽培・製造過程などを確かめることができます。
これらの特徴が生かされる場面のひとつが詐欺の見極めです。
産地や栽培・製造過程は重要な情報であり、それら自体が付加価値となっています。
地域名の入ったブランド食品、あるいは有機栽培といった栽培方法の価値を守るためにもトレーサビリティの向上は不可欠です。
オーガニックカカオの品質詐欺が一般化
今回の発表でCTAは、「コートジボアールのカカオ産業は岐路に立っている」と述べています。
追い詰められている原因は、歩合の低さと品質詐欺です。
オーガニックカカオの品質に関する詐欺は一般化しているため、効果的なトレーサビリティの必要性を訴えています。
CTAは2018年9月、これら詐欺問題に対するソリューションの募集を開始し、選ばれた提案のひとつがニチエダによるものです。
ココブロックを立ち上げるためにニチエダは、6万ユーロ近くの資金を調達しています。
自動モバイル決済も視野に
ニチエダはガイアチェーンの助けを借り、ブロックチェーンを使用したトレーサビリティシステムを考案しました。
このシステムは詐欺の制限、トランザクションコストの削減、生産利益率を持続可能な方法で増加させることを目的としています。
すでに先行アプリケーションは開発されており、コートジボアールのメ地域(Mé region)の協同組合である「メ地域有機カカオ生産者」 (the Producteurs de cacao biologique de la Mé :PCBM)でテストが行われました。
テスト期間は短かったものの、マイクロレベルでの生産トレーサビリティの向上に貢献できることを実証しました。
また将来的にココブロックは、自動モバイル決済も視野に入れています。
トレーサビリティアプリケーションのベータ版では、ブロックチェーンに基づく機能的な支払い登録モジュールの開発が予定されています。