食品サプライチェーンにおけるブロックチェーンの相互運用に向けて試験を開始
サプライチェーンに関する非営利の情報標準化団体であるGS1USは6月10日、FoodLogiQ、IBM Food Trust、ripe.io、SAPという食品のサプライチェーン管理を行う4団体の提供するソリューションを相互運用する概念実証(Proof-of-Concept)の第1段階が完了したことを発表しました。
今回の概念実証では、標準化されたデータモデルとしてGS1 Electronic Product Code Information Services(EPCIS)を利用し、ソリューション間の相互運用性が可能かどうかを判断しています。
またソリューションの中にはブロックチェーンだけではなく、クラウドやその他のトレーサビリティテクノロジーも含まれています。
ブロックチェーンによる食品の透明性
ブロックチェーンの特徴の1つは情報の透明性です。
従来では、直接情報を扱うことの出来る端末を制限することで、セキュリティの向上およびコストダウンを図ってきました。
これに対してブロックチェーンでは、個人の端末それぞれがデータベースとなるため、改ざんされても正誤の判断が可能です。
このような特徴を生かしている分野の1つが食品のサプライチェーンです。生産場所、生産環境、生産日時などで大きく価値が変わる食品では、情報の透明性が重要視されています。
ブロックチェーンの問題点である相互運用への第一歩
しかし、ブロックチェーンには相互運用性の欠如という弱点がありました。
ブロックチェーンという大きな括りの中でも、提供元や開発元によって仕様が異なります。このため使用しているブロックチェーンによっては、情報の共有ができないという問題点を抱えています。
食品流通では、生産、運搬、販売といったさまざまな分野で複数の異なる企業が関わっているため、ブロックチェーンに相互運用性が無いと、生産元あるいは供給元が運用するブロックチェーンに合わせて情報の更新を行うという手間が必要でした。
そのため、相互運用性が確立されれば、よりスムーズに情報の更新が行われることが予想されています。
エンドユーザーに対して多くの利点
GS1USのメラニー・ヌス企業開発担当上級副社長は、「GS1USは、相互運用可能なソリューションに向けて業界をリードすることに情熱を持っています」と話しています。
また同氏は、「システムの相互運用性の課題を解決を支援するために、これら4つのソリューションプロバイダー(FoodLogiQ、IBM Food Trust、ripe.io、SAP)は、GS1USの呼びかけに参加しました。それらのプロバイダーは、GS1標準化の価値をブロックチェーンのような新しいテクノロジーの基礎として認識し、エンドユーザーに対して一貫して多くの利点を与えることを理解しているためです」とも語っています。
概念実証の第2フェーズでは、GS1US、ソリューションプロバイダー、業界パートナーとのEPCISを実装および実際の製品追跡でどのように拡張するかの決定が予定されています。