【初心者向け】仮想通貨のPoWとPoSとは?かんたんに解説!
今回は、PoW(プルーフ・オブ・ワーク)やPoS(プルーフ・オブ・ステーク)についてかんたんにご説明していきたいと思います。
仮想通貨のようなブロックチェーンを利用した分散型の仕組みでは、特定の管理者がいないため、取引に不正がないかどうかをみんなで見張っておく必要があります。
ですが、みんながそれぞれ勝手にやっていては効率が悪いし見落としもあるかもしれないので、マイニングを一定のルールに基づいて監視しましょうというのが、PoWやPoSということになります。
このような方法の違いは、それぞれの仮想通貨を知るうえでも大切なことですし、セキュリティ問題とも関わってくるので覚えておいても損はないと思いますよ!
では、はじめていきましょう!
PoW(Proof of Work)とは?
メリット
PoWはかんたんにいうと「働けば働くほど(計算量が多いほど)マイニングの権利(報酬)が発生しやすくなる」という、承認のためのアルゴリズムのひとつです。
PoW(プルーフ・オブ・ワーク)とは、多くの承認を行った人に、より多くの報酬が支払われるもので、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)が採用しています。
マイニングというのは、暗号化された数式にとにかくランダムに数字を当てはめて続けて正解の数字(=ナンス値)を見つけだすという作業をしているのですが、
PoWでは一番はじめにナンス値を見つけた人にマイニングの報酬を与え、その結果をもとに新しいブロックをつけ加えていきます。
また、新しくつけ加えられるブロックは、1つ前のブロックとナンス値を含んだハッシュ値というもので紐づいているため、取引の一部を書き換えて不正を行うためには、過去にあったすべてのナンス値を計算しなおして「こちらが正しいブロックチェーンですよ」と証明しなければならないのですが、
そもそもブロックチェーンには、長い方が正しいというルールがあるので、もし仮に不正を正当化するために莫大な計算をしているあいだにも、報酬を得るために他の参加者は正統なブロックチェーンを長くし続けているので、それを追い越すことは事実上不可能ということになります。
このような理由から、PoWは物凄い力技であるがゆえに改ざんができない強固な仕組みを構築することができるという考えられています。
また、PoWは基本的に誰でも参加が可能で、特定の条件がなければ参加できないわけではなく、マイニングが可能なマシンを持っていれば参加することができます。
デメリット
・高性能な計算機を持てる存在が限られてしまう
マイニングの作業では計算のスピードが早ければ早いほど正解にたどり着く可能性が高くなりますが、
それは一方で、高性能な計算機を持っているかどうかが勝負のカギとなってしまい、巨額の投資資金を持っている特定の存在にマイニングの権利が集中してしまうということが起こり得ます。
その結果、悪意のある個人や団体が仮想通貨の51%以上のマイニングを行うような状況になった場合、不正な取引が行われる可能性があります。
BTCのようなマイニングにコストがかかる仮想通貨ではこのような事態が起きることは考えられませんが、マイナーの少ない仮想通貨では大きな問題となりかねません。
・電力の消費量が大きすぎる
マイニングの権利が発生するのは一番最初に当たりを見つけた存在だけなので、他のすべてマイニング参加者の計算に使った労力が無駄になってしまいます。
マイニングの参加者が多ければ多いほどほど、監視の目が増えることになるためセキュリティは高まりますが、電気の消費量は増えてしまうというジレンマを抱えています。
PoS(Proof of Stake)とは?
PoSはかんたんにいうと「「その仮想通貨を長期にわたって持っている量が多ければ多いほど取引を承認する権利を貰いやすくなる」という考え方です。
PoWの場合、マイニングを行うマシンパワーが高いほど報酬が多く得られます。ビットコイン(BTC)のような知名度の高い仮想通貨では、特定用途向け集積回路(ASIC)で行うのが主流ですが、多数のASICを使ってマイニングを行えば、電力消費量は極めて多くなります。
これが、環境問題につながる可能性があると指摘されています。
一方、PoSならばマイニング報酬はマシンパワーではなく、仮想通貨そのものの所有量と、所有期間の長さによって決まるため、大量の電力消費が必要な専用マシンは不要です。
イーサリアム(ETH)は承認アルゴリズムをPoWからPoSに移行することを決めていますが、これはPoWのデメリットであるマイナーの中央集権化を緩和する目的で考えられていて、大きくは次の2つに分けることができます。
- 持っている期間が長いほどマイニングの権利が得られやすくなる
- 単純に保有量に応じてランダムでマイニングの権利が発生する
メリット
・低コスト
PoWのデメリットである、計算能力の差によるマイナーの中央集権化を防ぐことができるとともに、大量の計算を必要としないため消費電力を抑えることができます。
・51%攻撃への対応
51%攻撃をするためには、それだけ多くの仮想通貨を保有しなければならないことや、仮に51%以上保持して改ざんしたところで、それによってその仮想通貨自体の価値が低下してしまうため攻撃をする意味がないという仕組みによって安全性が保たれます。
デメリット
・流動性が低くなる
そもそも通貨は流動性が高いことでその存在が成り立っているため、流動性の低さは致命的な問題を抱えているといえます。その点を発行上限を無くすことで回避するなどの対策が取られています。
・富が集中する
仮想通貨の価値が上がれば上がるほど、初期段階で持っていた人の富は増えます。さらに、富が多い人はPoSの仕組みによってさらに多くの富が得られるため、新しくその通貨を欲しいと思った人にはそれが障壁となって参入しにくいといった問題が生じてしまいます。
他の方法もあるんです!
基本的にはPoWやPoSを採用している仮想通貨が多いのですが、独自の承認システムでブロックチェーンを運用しているものもあるので、いくつか例をご紹介しますね。
PoI
PoIとは、NEM(ネム)が採用している承認システムのことで、Proof of Importance(プルーフ・オブ・インポータンス)の略になります。
NEMのブロックチェーンに参加しているユーザーは、保有量と取引量によってそれぞれの重要度が決められ、その重要度によって承認の権利の得られやすさが変わるという仕組みです。
PoCとは?
PoCとは、Ripple(リップル)が採用している承認システムで、Proof of Concensus(プルーフ・オブ・コンセンサス)の略になります。
あらかじめ承認ができるユーザー(=バリデータ:Validator)が決められており、そのユーザーの一定の割合以上が承認すれば取引が成立するという仕組みになります。
バリデータだけが承認作業をするのでマイニングの作業の必要がなく、取引速度が非常に早く、消費電力も非常に少なくて済むなどのメリットがあります。
このような仕組みはプライベート型のブロックチェーンといわれ、企業間の取引に向いているといわれています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
仮想通貨のネットワークを支えている方式の多くはPoWとPoSですが、どちらもメリット・デメリットがあり、その課題を解決するためや目的に応じて、さまざまな方式が考えられていることもお分かりいただけたかと思います。
これから仮想通貨が世の中に浸透していくためには、利便性とセキュリティのバランスが重要となってきますが、理想の形はまだ模索中であり、それぞれの仮想通貨はアップデートを繰り返して改善を図っています。
そのようなことを含めて、これから様々な仮想通貨に触れるなかで、
「この仮想通貨は何をしようとしているのか」
「そのためにどのような承認システムの方式を採用しているのか」
といったような調べ方をすると、また1つ仮想通貨の特徴を捉えやすくなるかもしれませんね!