Coinbase、EUでのPayPalとの提携によってBinanceに対抗か

Coinbase、EUでのPayPalとの提携によってBinanceに対抗か

2019年2月5日、アメリカの暗号通貨取引所最大手であるCoinbase(コインベース)は、EUのユーザーにPayPal(ペイパル)での引き出しサービスを提供すると発表しました。

これは、PayPalの公式ツイッターでも同様に、

「EUおよびEFTA(欧州自由貿易連合)のCoinbaseユーザーは、PayPalアカウントに資金を引き出すことができるようになりました。Coinbaseにサインインして、今すぐPayPalアカウントをリンクして、開始しましょう。」

と告知されています。

EUにおけるCoinbaseとPayPal

Coinbaseはすでに昨年末、米国でのPayPalのサポートを発表し、先月には米国のユーザーにこの機能を公開しています。

一方、EUの場合は、まだすべての国がCoinbaseとPayPalをサポートしているわけではなく、現時点では、EFTAの欧州諸国であるスイス・アイスランド・ノルウェー・リヒテンシュタインの4カ国だけがこの新機能にアクセスすることができます。

これらの国では、PayPalオプションが利用可能になる以前は、SEPAとUK Fasterの支払いオプションしかありませんでした。

SEPA(Single Euro Payment Area):
日本語では「単一ユーロ決済圏」といい、SEPA加盟銀行同士での送金において、それが自国外であっても国内と同様の振り込みを行えるようにすることを目的にユーロ決済圏の銀行で用いられている送金方法のこと。
UK Faster
民間の決済プラットフォーム事業者であるVocaLink社によって構築された、イギリスのリアルタイム決済サービスのこと。個人の利用者は何度送金を行っても手数料が無料で、代わりにビジネス利用では手数料が発生する。

Coinbaseは、PayPalは最も安全かつ簡単な送金方法を目指しているとし、このサービスはまだヨーロッパのすべての国に適用されるわけではないものの、今年中にそのサポートを拡大するよう取り組んでいると述べています。

Coinbaseの展開

Coinbaseは、昨年6月にプロの投資家向けのCoinbaseProをスタートさせたり、12月に30種類の仮想通貨の取り扱いを追加することを検討していると発表したりするなど、この数ヶ月間、仮想通貨のサポートを多様化しようとしてきました。

そもそも、Coinbaseは、クライアントに提供するトークンの数に関して、ほかの主要取引所よりはるかに遅れているのですが、

その理由は、もともと、ほとんどの主要取引所が「仮想通貨間の取引」を提供してきたため、その一環で取扱トークンの数を増やしてきましたが、Coinbaseはつい最近まで「仮想通貨間の転送」を提供してきたという経緯があるためです。

しかし現在は、アジア最大の取引所であるBinance(バイナンス)太刀打ちするために、ポートフォリオを拡大しようとしています。

一方、Binanceは、2019/1/15にユーロ建ての仮想通貨取引所「Binance Jersey Exchange」をスタートさせています。BinanceのCEOであるCZ氏は、その登録数について、”想定を大幅に上回る需要に圧倒されている”と自身のツイッターで明かしていました。


今回のCoinbaseのEUにおけるPayPalとの一連の動きは、こうしたBinanceの戦略に対抗するために、自身の強みを生かして新規ユーザーを獲得していきたいという考えがあると推測されます。