ウォルマートチャイナが食品情報の追跡のためにブロックチェーンを利用、食品媒介性疾患対策や廃棄物削減も視野に
ブランドマーケティングエコシステムに関するニュースや洞察を提供するアドウィーク(Adweek)は6月25日、スーパーマーケットの大手チェーン店であるウォルマート(Walmart)の中国合弁事業であるウォルマートチャイナ(Walmart China)が、監視ソリューションを提供するバーコード社(Varcode)と協力し、生鮮食品の鮮度を追跡できるタグを提供することを発表しました。
ブロックチェーンによる食品の追跡
従来のシステムは重要な情報を少数のデータベースで管理していますが、ブロックチェーンでは、複数のデータベースを用いて情報管理を行います。
これにより一部のデータベースの情報が改ざんされても、残りのデータベースの情報により改ざんの有無を確認することができます。
そのためブロックチェーンは、食品の生産地や育成方法といった食品の質に直結する情報を消費者に対して提供することが可能であり、小売業者は消費者の信頼獲得に繋がります。
特定温度でインクが分解されるタグを使用
今回使われるタグには、特定の温度になると分解される特殊なインクが使用されており、流通の各段階でこのタグが残っていれば、肉や農産物が安全な温度で保管されていたことが保証されます。
反対にインクが分解されて、タグを構成する黒い線の間にある白いスペース、いわゆる「ウィンドウ」が黒くなっていれば、特定以上の温度まで上昇していたことが分かります。
食品媒介性の疾患対策や廃棄物の削減
食品追跡の使用については鮮度情報の提供だけでなく、食品媒介性の疾患や廃棄物の削減といった環境問題への対策にもなります。
ある作物が寄生虫などに感染していた場合、それと同じ場所で栽培されたものは、同様に感染している危険性があります。ブロックチェーンによって食品を追跡することができれば、疾患を引き起こす可能性のある食品を効率よく見つけ出すことが可能になります。
また、それは同時に、疾患を引き起こす可能性のない「安全な食品を識別」するということにもなります。安全な食品を廃棄する必要がなくなり廃棄物削減に繋がります。
バーコード社のCEOであるジョセフ・バットー(Joseph Battoe)氏は、このタグを使うことでアメリカで発生している2,300億ドル(約24兆7,000億円)の食品廃棄物の削減に役立つ可能性があると語っています。