ブロックチェーンでコーヒー豆を追跡|農家とユーザーのつながりを実現

ブロックチェーンでコーヒー豆を追跡|農家とユーザーのつながりを実現

ブロックチェーンの利用については、国際送金や投資以外に、私たちの生活を支えるインフラとしても期待されています。

特に流通や食品といった業界では、ブロックチェーンのデータを記録し追跡できるトレーサビリティの特徴を生かした活用がされようとしています。

今回は、コーヒー豆の農家と消費者をつなぐブロックチェーンの活用について、そのサプライチェーンと農家の貧困の現状を交えながらご紹介します。

コーヒー豆のサプライチェーンを可視化

農家がコーヒー豆の木を植えるところから始まり、輸出業者や焙煎業者を経て消費者へ届くまでのサプライチェーンのあいだには、生産者にとっても消費者にとっても不透明な部分が多くあります。

コーヒー豆が安価に取引されることで農家が貧困状態となっていることは多く、また、その貧困が、地域の治安悪化や子どもたちの教育に大きな影響を与える原因にもなっています。

このような状態を打開するため、例えばスターバックスコーヒージャパンなどでは「エシカル(倫理的)な調達」に長年取り組んできました。その他コーヒーショップでも同様の理念を持った活動は広がっています。

そこで注目されるのは、サプライチェーンを可視化できるブロックチェーンです。

コーヒーのサプライチェーン

コーヒー豆農家の貧困は、決して倫理的ではない金額でコーヒー豆が取引されていることが原因の1つです。

では、コーヒー豆を適正な価格で取引するためには何が必要でしょうか。

その手段の1つとして考えられるのが、サプライチェーンを明確にし、消費者がコーヒー豆農家を知り評価することです。

コーヒー豆のサプライチェーンは大まかに以下のような流れとなります。

「農家(組合)」→「輸出業者」→「輸入業者」→「焙煎業者」→「消費者」

農家は主に、アフリカや中南米、アジアといった地域にあり、ここから輸出入業者の仲介を挟み、さらにコーヒー豆を焙煎する業者から消費者へと渡る流れです。

このサプライチェーンをすべてブロックチェーンでデータ化し、トレーサビリティを活用することで、消費者はスマホなどで簡単にコーヒー豆農家を知ることができ、コーヒー豆の生産をより身近に感じるようになるでしょう。

消費者から信頼を得る農家

ブロックチェーンでサプライチェーンを管理し、コーヒー豆のトレーサビリティが実現すれば、消費者は自分が飲んでいるコーヒーの生産者を知ることができます。

例えば、偶然飲んだコーヒーがとても美味しくて気に入ったとします。消費者はコーヒーの原産地や種類だけではなく、コーヒー豆を生産した農家までを調べられたらどうでしょうか。

「このコーヒーは美味しかったから、また同じ農家からのコーヒーを飲みたい」

「この農家のコーヒーなら間違いない」

生産者やそのルートが分かることで消費者は「安心」と「信頼」を得ることができるため、安心して今後も購入しようという気持ちになるでしょう。

消費者からの信頼がある農家は評価され、需要も高まります。それは、コーヒー豆の価格にも大きな影響を及ぼす可能性があります。

こうした安心や信頼の積み重ねは、コーヒー豆農家の貧困を解消する打開策の一手だといえるでしょう。

また、ブロックチェーンのトレーサビリティがサプライチェーンに信頼をもたらすことで、業界全体を動かす力になるかもしれません。

消費者と生産者が直接つながる

コーヒー豆のサプライチェーンをブロックチェーンで管理すれば、消費者と生産者の距離が劇的に縮まります。

仮想通貨取引で見られるように、ブロックチェーンはP2P取引が可能であるため、消費者から生産者へ直接アプローチができるようになります。

例えば、気に入ったコーヒーを見つけたら、トレーサビリティを利用してコーヒー豆農家を確認し、仮想通貨などを直接送ることもできるようになります。

それは消費者が農家に対して正当な評価を与えるとともに、農家の収入アップに繋がる1つの方法です。

なお、仮想通貨の利用については、スターバックスコーヒーがすでに「Bakkt Cash」を利用した決済の実証実験なども行なっています。

コーヒーを適正な価格で取引

コーヒーのサプライチェーンにブロックチェーン技術が利用されることで、コーヒー豆が適正価格で取引されることが期待できます。

これは、コーヒー豆農家の収入をアップさせるだけでなく、生産地域の経済的活性化にもつながり、治安の悪化防止や子どもたちの教育レベル向上にも影響するでしょう。

また、消費者にはコーヒーに対する安心と信頼性がもたらされることも利点の1つです。

このようなブロックチェーン利用は、システムの利便性だけではなく社会的にも非常に有意義な試みだといえます。

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