アルゼンチンで給与の支払いを仮想通貨で行える法案を提出
南米アルゼンチンのメンドーサ州の副大臣を務めるホセ・ルイス・モラン下院議員は5日、同国の特定の業種の労働者が給与の一部、または全額を仮想通貨(暗号資産)で受け取る事を認める法案を国会に提出した事を、7日に自身のTwitterアカウントで発表しました。
ホセ・ルイス・モラン下院議員が法案を提出した背景には、アルゼンチンのハイパーインフレに対抗し、国民の購買力を挙げる狙いが挙げられます。
IMF(国際通貨基金)の統計によると、アルゼンチンのインフレ率は2009年以降、政界的に高い水準を維持し、新興国の平均値を大きく上回っており、今年の5月のインフレ率は3.3%で年間では21.5%を累積しています。
2019年以降、アルゼンチン政府は国内の輸出業者に対して、外貨で決済する場合は自国の法定通貨であるアルゼンチンペソへ両替する事を強制しており、インフレ率の高いペソで代金を受け取ると実質的に利益が減少してしまう状況になっています。
国民に対してはアルゼンチンペソから外貨への両替を、正式ルートだと毎月200ドルまでに制限し、税金を65%かけています。
このような制限があるため、アルゼンチン国民の多くは米ドルに連動するステーブルコインであるDAIなどを利用し始めています。
ホセ・ルイス・モラン下院議員が提出した法案はアルゼンチン議会の上院と下院両方で可決される必要があるため、法案が可決されるかは不透明です。
法案が可決した場合は、給与をペソで又は仮想通貨で受け取るかについて、労働者が絶対的な決定権を持つことになります。
エルサルバドル共和国に続き、中南米諸国では仮想通貨を採用するための法案の提出相次いでいます。ブラジルやパナマといった国でも、仮想通貨をサポートする法律を作ろうという動きがあります。