【初心者向け】知っておきたいブロックチェーンと分散台帳技術(DLT)の基本
「ブロックチェーン」はすごくカンタンにいうと、
「特定の管理者のいない分散台帳を可能にする技術」のことです。
一般的に「台帳」というと、「交換や貸借、売買などをしたときの金額や事実を記録しておく帳簿」のことですが、ここで使う「台帳」という言葉は「データを記録したもの」という広い意味を含んだものとしてお話していきますね。
それでは、順にご説明していきます!
ブロックチェーンの特徴
そもそも分散台帳とは?
分散台帳とは、一箇所に情報を集めずに、複数でデータを共有している状態のことで、それを可能にするのがDLT(Distributed Ledger Technology:分散台帳技術)という技術です。
現在の一般的な情報の管理方法は、たとえば「土地の登記」や「保険の申し込み」を考えていただくとイメージしやすいかと思いますが、特定の管理者が情報を一括して管理をする「集中型」と呼ばれる仕組みがほとんどです。
しかし、集中型の管理には、情報が一部に集中するがゆえにデータの安全性や管理者の信用を高める必要があり、それを構築したり維持したりするためには、大きなコストが掛かってしまうことやデータが改ざんされる危険性があります。
分散台帳による情報管理はそうした課題を解決できるものとして注目がされています。
この図は、ヴィタリク・ブテリン(Vitalik Buterin)というイーサリアムを考案した方の記事から引用したものですが、こちらを見ていただくとよりイメージしやすくなるかもしれません。
- (a)Centralied:集中型・中央集権型
- (b)Decentralized:分散型・地方分権型
- (c)Distributed networks:分散型ネットワーク
ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンは、情報を一定のひとまとまり(ブロック)ごとに記録し、それを暗号化するとともに時系列で繋いで台帳を作成していく技術のことです。これを先ほどのDLTと組み合わせて情報を分散管理することで、
などの特徴をもった情報管理が可能になります。
これまでは何かしら情報のやりとりをしたときに、そのデータは信頼度の高い<国>や<企業>といった特定の存在に委ねられていましたが、データを恣意的に改ざんするようなニュースは後を絶ちません。
例えば、以下の神戸製鋼の件では、生産至上主義の弊害によって現場では不正が慣習化してしまい、結果的に国内外の自動車、航空機メーカーに多大な影響を与えことになりました。
「データ改ざん 神戸製鋼を強制捜査へ 東京地検特捜部と警視庁」
「佐川氏ら不起訴へ 森友文書改ざんで大阪地検特捜部」
NHKウエブに「改ざん」を巡る2つのニュースが並んでいる。「民の改ざん」は強制捜査、「官の改ざん」は不起訴。日本に法の下の平等はあるのか。 https://t.co/5sJN6lT4RD— m TAKANO (@mt3678mt) 2018年5月31日
また、次のニュースは国によるデータ改ざんの例です。統計データは私たちの生活に直結するものであるため、多くの生活者が不利益を被ることになっていたとしても、データそのものが改ざんされているとしたら、誰も気づくことができません。
[統計データ改ざん詐欺:統計所得、過大に上昇❗️]所得関連統計の作成手法が見直され、統計上の所得が高めに出ていることが判明!対象となる事業所群を新たな手法で入れ替えるなどした結果、従業員に支払われる現金給与総額の前年比増加率が大き過ぎる状態が続いている。https://t.co/pLYsHj8bT8
— やのっち(。・ɜ・)d (@_yanocchi0519) 2018年9月12日
特定の存在に頼る「集中型」の仕組みは”今のところ”一般的といえますが、情報はそれ自体が正確であるかどうかが非常に重要であるため、人が関わることによって起きるエラーや高いコストは、テクノロジーの活用によって回避されていくことが望ましいと考えられています。
え! 日本国公的文書ブロックチェーン化するチャンスじゃね!
— ↓→←+ー (@ochyai) 2018年3月12日
ブロックチェーンで何ができるようになるの?
では、ブロックチェーンを使うことで何ができるようになるかについて少し例を挙げてみましょう!
・新しい価値を生むことができる
取引の記録をオープンにすることで、その信用を元に新しい経済を作り出すことができます。
それによって、よりコストのかからないシェアリングエコノミーや小さな経済圏を作り出すことを可能にします。
・取引のスピードが上がる
国や銀行などのハードルが無くなるため手続きが少なくなるため、取引のスピードが上がります。
また海外送金や投資などもカンタンにできるようになります。
・取引時に発生するコストを減らすことができる
ブロックチェーンを用いた分散型の情報管理によって何ができるようになるのか、ということについてはまだまだ議論されている途中ですが、政治や金融、保険などに限らず、医療や農業、エネルギーなどあらゆる分野に活用されていくことが考えられています。
そのようなことから、ブロックチェーンは従来の社会構造を変えてしまうような「破壊的なイノベーションを起こす」ともいわれています。
いままでの金融業界の慣習を聞けば聞くほど、いまブロックチェーン界隈で起こってる破壊的イノベーションの潜在力を思い知らされる。
— Ryuichi Tanaka (@ryu1) 2018年5月31日
仮想通貨とブロックチェーンの関係
「ブロックチェーンを使ったモノやサービスとの引換券」のことを、日本では「仮想通貨」と呼んでいます。
これからますますテクノロジーが進化していくことによって、ARやVRがより使いやすくなったり、解像度が高くなって現実と変わらない世界をバーチャル空間に持てるようになったりするといわれており、
バーチャル空間に費やす時間が長くなることや、言語や国境の壁を超えたコミュニティがより多くできていくと思われます。
今はまだまだ投機的な意味合いの強い仮想通貨ですが、近い将来そのような状況になったときに、ブロックチェーンによって支えられている仮想通貨が、一般の人たちにとっても意味のある使われ方がされるようになることが考えられます。
おわりに
今回は、ブロックチェーンの特徴や何ができるようになるのかについて簡単ではありますがまとめてみました。
まだまだ発展途上といえるブロックチェーンや仮想通貨ですが、近い将来、わたしたちの生活をより円滑にしていくために無くてはならないものになっているかもしれませんね。
また、ブロックチェーンについて少しわかったところで、じゃあ仮想通貨ってなに?ということについてもう少し詳しく知りたくなった方はぜひ次の記事もどうぞ!
・信用性:記録が正しいかどうかをみんなで検証することで信用が担保される。また、仕組みが信用を担保することで運用コストが小さくて済む
・安全性:情報を分散共有しているためシステムダウンの心配がない