タイ政府、パーム油取引促進のためにブロックチェーンを使用する見通し
タイ国内のニュースを伝える英語メディアのバンコクポストは14日、タイの政府機関であるエネルギー省(The Energy Ministry)が、パーム油貿易を促進するためにブロックチェーンを使用するタイの石油トレーダーと話し合うよう商務省の事業開発部(Department of Business Development:DBD)に要請したことを発表しました。
ブロックチェーン導入の目的は仲介者の排除
今回の発表によると、ブロックチェーンシステムを導入する目的はパーム生産者とパーム油精製者の間に立つ仲介者の排除としています。
従来の取引方法では、仲介者を挟むことで取引の円滑化や公正化を図っていました。これに対して、改ざんがしにくく、透明性が高いブロックチェーンによって仲介者を挟まず円滑かつ公正に取引を行うことが狙いです。
ブロックチェーンを使うためのコストは必要であるものの、仲介者による手数料より安く抑えることができるとしています。
コストが取引価格を上回る現状
今回の発表によるとパームの生産者は、パーム油の原料であるパームナッツを1㎏あたり2.70バーツ(約9円)で販売しています。
しかし生産者によるとパームの実際のコストは、1㎏あたり3.5バーツ(約12円)であるべきだということです。
ソンティラット・ソンティヂラウォンエネルギー相は、「粗パーム油(crude palm oil:CPO)の余剰量を吸収し新鮮なパームナッツの価格を1㎏あたり3バーツを超えるように維持するために、政府は国内のパーム油の価格を管理を試みており、混合バイオ燃料ガソリンの含有量を10%と20%に引き上げた」と述べました。
同省は今年のタイ国内で220万トンの粗パーム油生産を期待しています。
タイ王国発電公社にもパーム油使用を要請
以前、エネルギー省は、タイ電力公社(the ministry ordered the Electricity Generating Authority of Thailand:Egat)に対し、同国中部にあるチャチューンサオ県のバンパコン発電所での発電に粗パーム油を使用するように要請しました。
タイ電力公社は既に16万トンの粗パーム油購入契約を完了、続いて20万トンの購入契約を実行中です。
これらの措置により昨年4月には1㎏あたり1.80バーツ(約6円)だった新鮮なパームナッツの価格は、6月中旬以降に1㎏あたり3.20バーツ(約11円)に上昇しています。