オーストラリアでブロックチェーンを使った水取引プロジェクトを開始
豊かで持続可能な北オーストラリア州を目指す北オーストラリア開発共同研究センター(Cooperative Research Centre for Developing Northern Australia)が、ブロックチェーンテクノロジーを使った水取引先行研究プロジェクトがスタートすることを5月13日に発表しました。
このプロジェクトは、オーストラリアの北部にあるファー・ノース・クイーンズランド(Far North Queensland:FNQ)地域の灌がい業者向けのものとなります。
ブロックチェーンによる透明性と取引時間の改善を目指す
ブロックチェーンの内部に蓄えられている情報が改ざんされにくいという特徴により、どのような取引が行われたのか、取引に不正はなかったなどの情報を、高い透明性を維持したまま確認することができます。
またブロックチェーンにスマートコントラクトという機能を実装することで、電子上での契約や手続きの簡略化を行うことができます。
今回の場合ではスマートコントラクトを使うことで、灌がい業者へ一時的に割り当てられた水を瞬時に取引することが可能になります。従来の取引方法では実行まで数日または数週間かかっていたことから大幅な改善が見込まれます。
研究者や業界の代表者である複数の企業、専門家、大学と提携
今回の水取引プロジェクトでは、
- ブロックチェーンとデジタル技術の専門家であるシビック・ラダー(Civic Ledger)
- クイーンズランド州天然資源・鉱山・エネルギー省(Queensland Department of Natural Resources Mines and Energy)
- クイーンズランド州の所有企業であるサンウォーター(SunWater)、メルボルンにあるロイヤルメルボルン工科大学(Royal Melbourne Institute of Technology:RMIT)のブロックチェーンイノベーションハブ
- ブリズベンとゴールドコーストにキャンパスのあるグリフィス大学(Griffith University)
- クイーンズランドでフルーツや野菜の栽培を行うFNQグロワーズ(FNQ Grower)
といった研究者や業界の代表者と共同で、今後6カ月に渡り先行研究プロジェクト「水市場の改善と新しいデジタルテクノロジーによる取引」を実施します。
「北オーストラリア州の農業界全体の取引最適化のためのデータ提供」
シビック・ラダーのCEO兼共同創業者であるカトリーナ・ドナジー氏は、今回の先行研究プロジェクトのビジョンと支援について北オーストラリア開発共同研究センターについて、
「オーストラリアだけではなく世界中で水不足に関する懸念と、透明性を維持したまま、乏しい水をどのようにして管理するかの必要性が高まっているため、この重要かつタイムリーな仕事を支援してくれたCRCNAに非常に感謝しています」と述べています。
またドナジー氏は、「この先行プロジェクトは、成長する北オーストラリア州の農業界全体の取引最適化を通知するための重要なデータも提供するでしょう」とも話しています。