ブロックチェーンでリサイクルされたプラスチックを追跡

環境・エネルギー関連

ブロックチェーンでリサイクルされたプラスチックを追跡

ブロックチェーン技術が生み出すものは、資産取引だけではありません。

改ざん耐性の高さやトークン発行などを必要とするあらゆるシステムに応用できる技術です。

証明書や物流といった分野など、幅広く活用されるブロックチェーンですが、ごみの回収に関してもその技術を利用したシステムが生まれています。

そのシステムは、ごみを回収すれば報酬が得られるというメリットを作り出すほか、トレーサビリティも最大限に活用するものです。

ブロックチェーンをプラスチックごみ回収に活用

世界では、ブロックチェーン技術を基盤としたシステムを、プラスチックごみ回収に活用する国があります。

プラスチックの廃棄は今、世界中の海を汚し、海洋生物にも大きな影響を与えている環境問題となっており、プラスチックごみを減らすために、コーヒーショップや飲食店がストローを紙製にしたり、レジ袋を有料化したりするなど、私たちの身近でも取り組みが進んでいます。

しかし、ペットボトルをはじめとしたプラスチック製品が急になくなるということはなく、また、プラスチックは「リサイクル」という形で利用する習慣がありますが、それでも世界的なリサイクル率は依然として低いといわれています。

これまではプラスチックごみを分別しても、その後、自分が出したプラスチックごみがどのようにリサイクルされているかまでは分かりませんでしたが、これを可視化するために、プラスチックごみリサイクルシステムにブロックチェーンが利用されています。

ブロックチェーン技術を使えば、トークンを発行するシステムはもちろん、取引をトレースすることも可能になるため、自分が行うリサイクルの結末までを追うことができます。

ブロックチェーンを利用したプラスチックリサイクル

ノルウェーのオスロでスタートアップした「Empower」は、プラスチック問題に取り組む企業です。

Empowerのシステムは、プラスチックごみの回収からリサイクルまでを可視化するとともに、プラスチックごみを集める際に、ごみの重さに応じてトークンをもらえる仕組みです。

ペットボトルをはじめとする生活から出るプラスチックごみを、決められたステーションに持っていくことでアプリにトークンをもらうことができます。これに参加するために必要なのはアプリだけなので、特別面倒な手続きは必要なく、参加ハードルが低いことも特徴です。

また、これまでリサイクルステーションにごみを持っていった段階で終わっていた私たちのリサイクル活動が、その後どのようにリサイクルされたかをトレースすることができます。

このシステムは、世界15ヵ国のプラスチック廃棄物収集業者などと提携し、試験運用されています。

ノルウェーにおけるペットボトルのリサイクル

ノルウェーでは、ペットボトルに最初から少額がデポジットされており返却すれば返金されるというリサイクルシステムがすでに確立しています。

例えばコーラの瓶やビール瓶などを居酒屋へ返却すると数十円が返ってくるという仕組みと同様のシステムです。

しかし、ノルウェーのこの仕組みはペットボトルに限定されているという点や、リサイクル活動はペットボトルを「回収ボックスに入れるまで」しか分からないという課題がありました。

ブロックチェーンを使ったシステムでは、このような問題点の解決や、リサイクルごみの追跡に対する意識の変化に期待が持つことができます。

トレーサビリティで分かるプラスチックごみのその後

ブロックチェーンのトレーサビリティという特徴を活用すれば、プラスチックごみがどのようにリサイクルされたかを追うことができます。

プラスチックごみをステーションに持ち込み、そのプラスチックがその後どのような製品に生まれ変わるのかを知ることができれば、リサイクルの意義を実感しやすくなります。

あの日リサイクルに出したプラスチックごみが「衣服」になったり「おもちゃ」になったり、あらゆる製品のパッケージに生まれ変わっていることが分かれば、リサイクルに対する姿勢も積極的なものに変わるのではないでしょうか。

ごみとして捨てられたプラスチックは、世界の海洋を漂い、動物たちを傷つけてしまうかもしれません。

しかし、プラスチックごみがリサイクルされる過程を最後まで見届けられれば、安心にもつながるでしょう。

ブロックチェーン技術は今、人々のリサイクルへの意識も変えようとしているのかもしれません。

ブロックチェーンを使って空気や電気を見える化するトレーサビリティシステム