トヨタ、東京大学、TRENDEが共同でブロックチェーンによる個人間の電力取引を可能に
5月23日、電力小売ベンチャー企業のTRENDE株式会社は、ブロックチェーン技術と電力システムを融合した次世代電力システムの実験を開始する旨を発表しました。(TRENDE株式会社は東京電力ホールディングス株式会社のグループ企業)
TRENDE株式会社は今回、トヨタ自動車株式会社と共同で、ブロックチェーンを活用した電力システムの共同実証実験を実施します。
ブロックチェーン技術といえば、現状は主に仮想通貨(BTCやアルトコイン)を取引するためのプラットフォームとして利用されています。
ブロックチェーン技術を利用することで実現できる主な特徴としては、仲介者を通さずに個人間での取引が可能になるということです。
BTCやアルトコインといった仮想通貨は、個人が所有する“ウォレット”から直接相手のウォレットへ送金できるため、仲介手数料がほとんどかかりません。
今回、トヨタと東京大学は、電力システムにブロックチェーン技術を融合することで、電力を仮想通貨のように個人間での取引(売買)を実現します。
電力エネルギーを個人間で取引できるシステムへの試みは世界初です。
TRENDEのプレスリリースでは、以下のような実証実験内容が示されています。
本実証実験は、太陽光パネルや蓄電池に加えて、世界で初めてPHVを分散型電源として組み合わせた個人間電力売買の実証実験です。本実証実験を通じて、電力消費者とプロシューマーが、市場取引を通じて電力を売買することの経済性を検証するとともに、距離別託送料金のシミュレーションや航続距離に応じて電力消費量が変化する電動車の電力需要予測アルゴリズムの検証を行います。
引用元:TRENDEプレスリリース
ブロックチェーン技術と電力システムの融合により、プラットフォームに消費者が参加することで、家庭や企業のエネルギー管理を可能にし、それぞれの発電量予測に応じて“電力取引”を実現します。
電力取引においては、電力取引所を新設することで、電力の買い注文と売り注文をマッチングさせ、電力の個人売買を可能にします。
とらえ方としては、現状の仮想通貨取引所と同じです。仮想通貨は仮想通貨取引所で個人の買い注文と売り注文をマッチングさせ、取引を成立させます。この一連のシステムを電力に特化したシステムとして適用するということです。
ブロックチェーン技術がエネルギー問題の解決に有効活用される可能性が高まっており、これが成功することで、社会インフラをブロックチェーン技術に置き換えていく大きな事例となるでしょう。