ブロックチェーンでCO2削減評価|カーボンオフセットの可能性
ブロックチェーンは、地球環境保全に貢献できる可能性があり、仮想通貨(暗号資産)と同じように、「貢献度の評価」がコインとして使われようとしています。
評価がコインとして可視化されることで、例えばCO2排出削減量のやりとり(カーボンオフセット)も可能になり、地球温暖化の防止にも役立ちます。
そこで今回は、ブロックチェーンを利用して地球温暖化防止を目指す「マリン カーボンブロッキング」サービスを交えながら、カーボンオフセットへつながるブロックチェーンの活用をご紹介します。
地球環境保全の要請の高まり
近年、日本国内でも強力な台風や豪雨が頻発するなど、気候変動は肌で感じられるところです。これは日本国内だけの問題ではなく、地球環境そのものの改善が必要なほど深刻化しています。
世界のCO2排出量は、最も多い中国やアメリカで、毎年50億トン以上もの二酸化炭素を排出しています。そして、世界の二酸化炭素排出量は約328憶トン(2017年時点)にもなっているのです。
これは地球の温暖化を加速させ、その結果、世界中でこれまでにない異常気象の観測、甚大な被害につながっています。
このような地球規模の環境改善を目指して、SDGs(持続可能な開発目標)やパリ協定などが成立し、現在、世界中で地球環境保全への取り組みが行なわれています。
海運業界でもCO2排出削減が課題
CO2の排出削減で地球温暖化を防止することも重要な活動の一環であり、海運業界でも2050年までにCO2の排出量を50%削減する目標があります。
そんな中、ウェザーニューズ社とchaintopeは、「マリンカーボンブロッキング」サービスの共同開発を2019年末より開始しました。
ウェザーニューズ社といえば、天気予報サービスを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、同社が提供するサービスはそれだけではなく、港湾や海上の気象や、漁船バックアップのための水産気象、過去半世紀以上の船舶航海データの航海気象なども扱っています。
もう一方のchaintopeは、国内外でブロックチェーン技術を利用したシステム開発の実勢を持つ企業です。
双方の企業がデータや技術を合わせ協力してCO2排出削減量の可視化を行ない、CO2排出削減量に対する正当な評価や還元を行うことで、地球環境保全への取り組みを活性化させます。
ブロックチェーンを利用してCO2排出削減量を評価
「マリン カーボンブロッキング」は、ブロックチェーン技術を利用して、海運会社のCO2排出削減量を可視化し評価に繋げます。
具体的には、海運業界が航海中に削減した燃料消費量や、過去の航海データを元に算出し、その削減量や貢献度に応じた成果を「見える化」するものです。
CO2排出量削減は、現在すでに取り組んでいるものですが、その取り組みが正しく評価されておらず、貢献に対する還元が成されていないという実情もあります。
また、改ざん耐性が高く、データの不正が起こりにくいブロックチェーンを利用することで、CO2排出削減量を「価値」として、海運業界だけでなくその他の業界でも利用できるプラットフォームを目指しています。
ブロックチェーンを利用してカーボンオフセットの二次流通へ
CO2排出削減量を算出し、そのデータをブロックチェーン上にコインとして記録することで、仮想通貨(暗号資産)と同等の可視化が可能です。
この取り組みは、CO2排出削減量の可視化と貢献度の評価だけではなく、コインというデータになることがポイントでしょう。
貢献度や評価がコインとして可視化されれば、そのコインをブロックチェーンのプラットフォーム上で流通させることが可能になります。
それは、海運業界だけではなく、あらゆる業界の境界線を超えて、地球環境保全に取り組めるということです。
つまり、コインでカーボンオフセットが可能になるということなのです。
【カーボンオフセット】とは、日常生活や経済活動において、できるだけCO2の排出量を削減する努力を行ない、どうしても抑えきれない排出量については、温室効果ガスの削減活動に投資することで相殺するという考え方。
ブロックチェーン上にコインを生成するということは、P2Pでのコイン取引ができるということです。
CO2排出削減量にて実績を挙げたものは、コインによって評価されるため、コインは価値を持ち、どうしてもCO2の排出削減量が抑えきれなかった企業は、コインを取引することでカーボンオフセットを実行できるという仕組みです。
ブロックチェーンのプラットフォームが、あらゆる業界のプラットフォームとして定着すれば、海運業界をはじめさまざまな業界で取引できるようになり、CO2排出削減が促進されることになるでしょう。
ブロックチェーン、コイン、カーボンオフセットは、地球環境保全を推し進める手段として大きな成果を上げるかもしれません。