環境×DAOの可能性|ReFiに取り組むweb3.0プロジェクト

環境×DAOの可能性|ReFiに取り組むweb3.0プロジェクトまとめ

国連によると温室効果ガスの濃度は過去200万年間で最高レベルにあり、現在、地球は1800年代後半と比べて約1.1℃気温が上昇しているといわれています。

特に過去10年間は記録的な温暖化であり、排出量は増加の一途をたどっています。

そのような状況に対して、新しいテクノロジーの力を利用し、気候変動に立ち向かうビジネスを生み出す方法の1つとして「DAO(分散型自律組織)」が注目を集めています。

DAOは、ある目的に対してブロックチェーン上でスマートコントラクトを用いて構築され、それを中心に一人一人が自律的に動くように設計された仕組みで、一人に権力が集中しないという点にその力があります。

DAOのフレームワークでは、共有された情報に対してコミュニティメンバーが投票を行うことで、意思決定をトップの数人に頼るのではなく、すべての関係者から意見を集めることを可能にしています。

つまり、気候変動に意識の高い個人がDAOのメンバーとして集まり、気候変動対策に取り組むための意思決定に全員が関与、さらに、個人が実現を望むプロジェクトや企業に資金を提供することもできるため、気候変動対策を行う企業にとっても魅力的な存在となり得ます。

ReFiに取り組むプロジェクトを紹介

Web3 Climate Map

ReFi(Regenerative Finance:再生金融)とは、ブロックチェーンの仕組みを利用して、取引をするごとに地球を再生させようとしている新しい金融システムのことで、主に3つの課題(『気候変動』『生物多様性の崩壊』『社会的不公平』)の解決に向けた取り組みをしています。

環境分野だけでみても、カーボンニュートラルや土壌再生、森林破壊の抑制、生態系保全など様々な異なる課題に対処しようとするDAOが多数存在しているため、その中からいくつかご紹介したいと思います。

なお、ReFi DAOでは様々なReFiに取り組むDAOを検索できたり、Web3 Climate Mapでは120を超えるプロジェクト同士の関連を一目で確認することができたりしますので、ぜひご覧になってみてください。

Regen Network(リージェン ネットワーク)

Regen Networkは、他のプロジェクトやプロトコルが、気候変動に焦点を当てた独自のビジネスモデルを実行するために、その上に構築し活用する「レイヤー0」として機能するような、エコロジーに関する主張とデータのための基礎となるフィンテック・インフラを構築することを目的としています。

分散型台帳と最新のリモートセンシング技術を使って、人類と環境の関わり方に関する新しいツールを提供することで、農家や政府機関、研究者と学術関係者、民間企業、NGOなど様々な分野からの活用を想定しています。

Flow Carbon(フローカーボン)

Flow Carbonは、Web3を活用して地球の自然な炭素吸収源を保護し、自然ベースの気候ソリューションを通じて脱炭素化を加速させること目的とし、自発的なカーボンクレジットをトークン化することで、誰もがアクセスできる流動的で透明な市場の提供を構築しています。

WeWork元CEOアダム・ニューマン(Adam Neumann)氏を中心に設立したことや、2022年5月にA16z主導の資金調達ラウンドと炭素トークンの売却で7,000万ドルを調達したことで注目を集めています。

dClimate(ディクライメイト)

dClimateは、地球の気候データとモデルを民主化することを目的に、データ駆動型の気候変動アプリケーションを開発し、様々な気候変動の実現・予測データを購入・共有できる分散型マーケットプレイスを提供しています。

dClimateは、気候データの収集や解釈、報告は、グローバルなプロセスであるものの、各組織が分断されているために、気候データの提供や利用を求める多くの主体(科学プロジェクト、政府の政策決定活動、民間企業)に影響を及ぼしていることから、その脆弱性が課題だと考えています。

さらに、新しいデータ収集や解釈の取り組みに関しても、参入障壁が高く、非営利モデル以外の成功への道筋が不明確であるため、イノベーションの妨げとなっていると考えています。

dClimateは、オープン性と革新性を促進する気候記録のための新しいプラットホームの構築を目指しています。

Moss(モス)

MOSSは、ブラジルで最大の自主的炭素クレジットのトレーダーであり、世界全体で最大の1つです。

温室効果ガスを相殺するために使用されるカーボンクレジット付きトークンのモスカーボンクレジット(MCO2)を発行するとともに、炭素クレジット市場プラットフォームを提供しており、1トークンを燃やす(または廃棄する)ごとに、1トンの炭素排出量を相殺したことを証明する証明書を発行しています。

また、MOSSはAmazon NFTコレクションを販売しており、その売上をアマゾンの熱帯雨林の保護のために使用しています。

KlimaDAO(クリマ ダオ)

KlimaDAOは、環境保護主義者や開発者、起業家の知識と専門性を結集して、今日の炭素市場に変化をもたらすことを目的に、「KlimaInfinity」アプリを通じてweb3.0ビルダーとユーザーにKLIMAトークンを通じて炭素市場に参加する機会を企業や個人に提供しています。

また、KlimaDAOはステーキング機能も提供しており、それによって炭素トークンの価格を高め、企業や経済は気候変動により早く適応しなければならない状況を作り出し、低炭素技術や炭素除去プロジェクトをより収益性の高いものにすることを意図しています。

Toucan(トゥーカン)

Toucanはスイスに拠点を置く非営利組織で、ブロックチェーンを利用した炭素市場でのインフラストラクチャを構築しており、人類が2050年までにインターネットから排出するエネルギーを実質ゼロにすることを目指しています。

カーボンクレジットをブロックチェーンとToucanMeta-Registry(カーボンの値を記録したデータベース)にブリッジすることで、カーボンオフセットの二重支払い防止を推進したり、自然ベースの炭素クレジットのバスケットに支えられたNCT(ネイチャー・カーボン・トン)を発行することで、誰でも森林再生や動物の生息地保護などの資金調達などで重要な役割を果たすことができる仕組みを提供しています。

DOVU(ドブ)

DOVUは、イギリスを拠点に持続可能な農業を行う農家に対してインセンティブを与えることで炭素貯蔵の推進する団体です。

2021年12月、英国やブルガリアの小規模農家から直接調達した少量の炭素から炭素マーケットプレイスを立ち上げ、現在では、監査プロセスの開発に成功し、今年中に30万トンの検証済みカーボンをチェーンに乗せるという目標を掲げています。

Ecosapiens(エコサピエンス)

Ecosapiens(エコサピエンス)は、CO2削減により関心を持ってもらうためにユーザーのインセンティブとマッチする魅力的なNFTを作成しています。

自然をモチーフにしたキャラクターアートのNFTは、CO2に裏付けされた価値を付与した上で販売されています。

各NFTにはアメリカ人の平均年間排出量に該当する、20トン分のCO2がトークン化されており、ユーザーが購入するとその分のCO2が相殺されるため、NFTの購入・所有がCO2削減につながる仕組みとなっています。

今後はReFiのリーダーとなるべく「Ecoverse(エコバース)」の構築や、環境プロジェクトや慈善団体に資本を誘導するDAO・炭素ポイントが付くエコカードなど、サステナビリティに焦点を当てたサービスの構築を展開する予定です。

まとめ

DAOは新しい組織形態なので、まだハッキリとその可能性を示すことはできませんが、透明性やコミュニティーの関与、スピードといった利点により、既存の組織だけでは解決できない問題を解消していく可能性があります。

ReFi DAOなどのサイトでも様々なDAOを検索することができるので、まずは気になったプロジェクトコミュニティに参加してみてはいかがでしょうか。