【初心者向け】仮想通貨でよく聞くスマートコントラクトってなんのこと?
スマートコントラクトとは、スマート(賢い)とコントラクト(契約)を合わせた用語で、ブロックチェーン上に契約に必要な行動をプログラム化して記述するとともに、その履歴をすべて記録・公開することで、煩雑で手間のかかる契約から決済にいたるまでの一連の取引行為を自動化することができる仕組みのことです。
スマートコントラクトのメリットは、事前に契約内容を決めておき、その条件を満たした場合のみ実行される仕組みであるため、信用を担保する仲介者が必要なくなり大幅なコスト削減と時間短縮が見込まれています。また、すべての履歴が記録・公開されることからデータ改ざん防止にも繋がります。
一方でデメリットもあり、一度、契約が実行されてしまうとお互いに合意があったと見なされるため、後戻りができず修正をすることも不可能になります。そのため、たとえば間違えて契約金額が一桁多く記述してあり、それに気付かず契約してしまったとしても自動的に支払いが実行されてしまう可能性もあります。
この場合は、双方で話し合って再び契約をし直すなどして対応することが可能かもしれませんが、事前に組んだプログラミングにセキュリティ面の欠陥がある場合にはハッキングをされてしまうなどのおそれもあります。
また、土地の所有権などを契約する場合、発展途上国の独裁的な権力者や犯罪組織の悪意のあるユーザーが、不当な条件によって契約したものを正当な記録として残せてしまう可能性もあるため、
そもそもの契約内容が正しいものかどうかということを判断しなければならない事例もあることが考えられています。
スマートコントラクトを搭載している仮想通貨とは?
Ethereum(ETH)、LISK(LISK)、EOS(EOS)、NEO(NEO)など、スマートコントラクトを実装している仮想通貨はいくつもありますが、時価総額やICOなどで派生したプロジェクト数を考えれば今のところ主流はETHといえるでしょう。
イーサリアムのブロックチェーンを活用して、日本国内でも以下のように様々な企業がスマートコントラクトの実証実験を行っています。
- NTT
http://www.nttdata.com/jp/ja/news/services_info/2017/2017081501.html
- 三井住友海上火災保険株式会社
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP446861_R00C17A6000000/
- 株式会社三菱総合研究所
https://www.mri.co.jp/news/press/public_office/023107.html
実際にはどんな使われ方がされているの?
MyWish(マイウィッシュ)
MyWishはETHベースで動くスマートコントラクトで、遺言契約の設定ができます。基本的に仮想通貨の保管はその所有者しか知らない秘密鍵によって安全性が保たれますが、所有者が突然死亡するなどした場合には、その資産は永遠に誰にも動かすことができなくなります。しかし、mywishでは、もしあなたが突然亡くなった場合でも、あらかじめ設定しておいた相続先に貯蓄していた仮想通貨を移転することを可能にします。
CryptoKitties(クリプトキティーズ)
CryptoKittiesはETHベースで動くスマートコントラクトで、アプリ内でネコを育てたり、交配したり、売買したりするゲームです。それらの行為をする際のルールにスマートコントラクトが使われています。1匹の時価総額が1000万円を超えたことで話題になるなど、現在、もっとも有名なDAppsゲームの1つです。
Propy(プロピー)
PropyはETHベースで動くスマートコントラクトで、不動産取引に必要だった煩雑なプロセスを簡素化することでコストを下げることができます。不動産業界に破壊的なイノベーションをもたらす可能性があることから「不動産業界のアマゾン」とも呼ばれています。
今後の可能性
信用を担保し契約を自動化するスマートコントラクトの仕組みは、金融業界に大きなインパクトを与えるとして注目を浴びがちですが、
それだけでなくシェアリングサービスやゲーム、不動産取引など、あらゆる分野や行為に応用ができると考えられています。
特に、法整備の整っていない発展途上国などでは、個人や企業が資産を守るための方法として一気に普及していきそうですよね。
これからも、分散型で管理者のいないトークンエコノミーの形成・拡大を加速させていくカギとなるスマートコントラクトに注目しておくと面白いと思いますよ!